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ダブルライセンス取得者が解説!【理容師と美容師の違い】

イッチー
どうも、こんにちは。柔らかく手触りがツルツルの縮毛矯正『ストレートエステ』が得意、京都府宮津市DDY hairのイッチーです。

意外に知らない理容と美容の違いについて、両方の資格を取得した身として徹底解説させていただきます。

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定義の違い

一般のお客様からしたら理容師と美容師の違いというのは明確に分かりづらいですよね。

イメージとしたら「理容師=男性」「美容師=女性」であったり「理容師=パンチパーマ・角刈り」「美容師=カリスマ・おしゃれ」みたいなワードも少なからずあるでしょう。

そこで明確な違いを、理容師と美容師にまつわる定義の違いから見ていきましょう。

理容師とは「容姿を整える」という意味があり、理容師法によると、

頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること出典…理容師法(昭和22年12月24日法律第234号)

一方、美容師法では、

パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること出典…美容師法(昭和32年06月03日法律第163号)

とあります。

この後、少しずつ法律も時代と共に変わっていくのですが、昔はカットは理容室でしかできず、パーマは美容室でしかできなかったという事になります。

イッチー
だから「理容室=散髪屋」「美容室=パーマ屋」と呼ばれる名残があるみたいです。

この後、性別による業務範囲を定めた昭和53年の通知によると、次のような事で分けられるようになりました。

理容師の行うコールドパーマネントウェーブについて
理容師が、刈込み等の行為に伴う理容行為の一環として男子に対し仕上げを目的とするコールドパーマネントウェーブを行うことは差し支えないが、これ以外のコールドパーマネントウェーブは行ってはならないこと。出典…理容師・美容師制度の概要などについて

つまり、『理容師』は男性に対してのみパーマを行うのはいいが、女性に対してパーマをあててはならないという事になります。

一方、美容師はというと、

美容師の行うカッティングについて
美容師が、コールドパーマネントウェーブ等の行為に伴う美容行為の一環として、カッティングを行うことは、その対象の性別の如何を問わず差し支えないこと。また、女性に対するカッティングは、 コールドパーマネントウェーブ等の行為との関連の有無にかかわらず行って差し支えないこと。
しかし、これ以外のカッティングは行ってはなら ないこと。出典…理容師・美容師制度の概要などについて

これを言い換えると、『美容師』はパーマは性別問わず行って良いが、男性のカットのみは行ってはいけないという事になります。

つまり表にまとめるとこんな感じ。

  理容師 美容師
男性カットのみ ×
男性カットとパーマ
女性カットのみ
女性パーマ ×

それが時代の流れと共に徐々に規制が緩和され、平成27年7月17日の通知により、

理容師がパーマネントウェーブを行うことは差し支えないこと。
美容師がカッティングを行うことは差し支えないこと。出典…理容師・美容師制度の概要などについて

と変更になりました。

つまり、下記のとおりカットとパーマについては規制緩和が成されました。

  理容師 美容師
男性カットのみ × →
男性カットとパーマ
女性カットのみ
女性パーマ × →

これにより、カットとパーマについては性別問わず理容師・美容師どちらも行えるようになったのです。

施術メニュー(業務範囲)の違い

カットとパーマについてはお客様の性別、理容師・美容師関わらず行えるようになりましたが、特定のメニューにおいては現在でもそれぞれでしか行えないものもあります。

それをまとめたのがコチラ。


理容師・美容師制度の概要などについて参照

これだけ見ると、かなり美容師の方が提供できる事は多いですね。

(まつ毛エクステを提供するのに美容師免許が必要なのも意外と知られていないかもしれません)

⚠注意
美容師による顔そりはあくまでメイクをする上での軽い程度であり、顔そりを主としたサービスとして顧客を誘引するのはNGになります。

理美容ニュース参照

つまりメニューとして「顔そり」「シェービング」と謳えるのは理容室のみという事になります。

「資格がある=技術がある」ではない

理容師・美容師は国家資格なので、資格を取った時点でそれら全ての技術がお客様に提供できると思われがちですが、それは間違いです。

もちろん資格的には提供できますが、お客様に提供できる技術もあるかといえばそうとは言い切れません。

多くの理美容室ではカリキュラムやテストがあり、それを合格する事でお客様の施術に入らせていただくことができます。

国家試験というのは理容師・美容師ともに課題が決められており、仕上がりの正解のスタイルがあります。

いかにその正解のスタイルに時間内に正確に再現できるかをみられるので、専門学校の授業では基本的に多くの時間を国家試験のために充てられます。

なので専門学校で学ぶのは主に「国家試験に合格するための授業がほとんど」となり、即戦力でお客様に入らせていただけるのは極めて稀なケースだと思います。(もちろん専門学校によっては、即戦力の超有望な新人を育てる場合もあるとは思います)

国家資格合格し、理容師・美容師の免許を持つことは最低限のスタート地点であり、技術はそこからコツコツと積み上げていくしかありません。

そして各店のカリキュラムを通過して晴れてお客様に入らせていただくのです。

もちろん入客後も理容・美容の技術や商材というのは日進月歩であるため、施術者として努力し続けなければなりません。

その努力量が足りない場合、お客様に喜んでいただけなくなるため、資格があるだけでは技術があるとは言い切れないのです。

特に国家試験の科目ではないヘアセット・メイク・まつ毛エクステなどはそれぞれの分野でも専門職として成り立つほどの技術なので、専門学校卒業後に専門的に磨く必要があります。

理容室と美容室の併設について

そんな意外と多くの違いがある理容師と美容師は法律上一緒に働く事はできません

というのも、これも理容師法・美容師法にて、

  • 理容師は「理容所(理容室)」で理容を行わなくてはいけない
  • 美容師は「美容所(美容室)」で美容を行わなくてはいけない


とそれぞれ決められています。

つまりは、理容師は美容所(美容室)では働けないし、逆に美容師も理容所(理容室)では働けないという事になっています。

という事は、理容師免許を持ってても美容室では顔そり(シェービング)は提供できないし、美容師免許を持ってても理容室ではまつエクは提供できないという事にもなります。

そこで、2015年12月に重複開設を認める改正がありました。

その条件が、

  • 理容所及び美容所に必要な衛生上の要件を満たていること
  • 理容師及び美容師双方の資格を有する者のみからなる事業所に限ること

つまり、理容室・美容室を作るための設備を整えた上で、スタッフ全員が理容師・美容師両方の資格を持つことが条件となります。

図で表すとこんなイメージ。

この条件が整って初めて「理美容室」とみなされるので、新しくスタッフを雇う場合も同様にダブルライセンス所持者限定になります。

(理容師・美容師いずれか片方だけのスタッフは不可)

理容室と美容室を分けて登録するのは可能

先述の理美容室併用サロンは「全員ダブルライセンス所持者」という部分がなかなかハードル高いのですが、この場合ではなく理容室と美容室を分けて登録するという方法もあります。

⚠注意
これは全国的な法律ではなく、各自治体によって分け方のルールが違います。

簡単に説明すると、以下の2つの特徴に分類されます。

入り口も分けなければならない場合

入り口を2つに分けて2店舗のように登録するパターン。

こうなると同一店舗というよりも「理容室」と「美容室」を完全に分けた2店舗になるイメージですね。

当然ながら理容室では理容師だけが、美容室では美容師だけが働く事が可能になります。

入り口は1つでもいいが中を2つに分けるパターン

一方、入り口は1つでも大丈夫な地域もあります。

入り口は1つでも構わないのですが、中を壁などの不動の仕切りにより明確に分け、双方に衛生面の設備なども満たしている場合のみ、理容室と美容室に分けて登録する事が可能になります。

もちろん、この場合でも理容室では理容師だけが、美容室では美容師だけが働く事が可能になります。

DDY hairの場合

ちなみに我がDDY hairの場合、うちの地域では後者の「入り口は1つでも良い地域」なので、同一住所の同一店舗の中で明確に2つに分けて理容室と美容室に分けて登録しています。

そして僕は美容師免許と理容師免許の両方を取得し、妻は美容師免許を取得しています。

なので、働いているスタイルはこのようなイメージ。

僕はどちらでも働けますが、妻は美容室ブースでしか働けません。

そして、僕はどちらでも働けますが、顔そりは理容室ブースでしか施術できません。

ややこしいですが、そういうルールなのでお顔そりメニューの際には美容室ブースにいらっしゃるお客様にも理容室ブースに移動していただいております。

理容師免許・美容師免許の取り方

理容師免許も美容師免許もそれぞれ専門学校を卒業することで国家試験を受けるための受験資格を得ます。

その後、国家試験(実技・学科)を合格して晴れて理容師・美容師になれるのです。

Point
実技と学科どちらも基準を満たして初めて合格となります。
どちらかだけ不合格の場合、1度だけ通った方が免責となり半年後不合格の方だけ再受験できます。(その時不合格ならまた0から)

主に専門学校の課程は昼間・夜間・通信の3通りあります。

【昼間課程】では理容科も美容科も2年間で、中学・高校のようなスケジュールで毎日通い、実技と学科を学び、春・夏・冬に長期休暇があります。

【夜間課程】では昼間に働きながら通うシステムで2年間の通学が必要になります。
※夜間課程を持つ専門学校は少数のようです。

【通信課程】では基本的にサロンに勤務しながや通う方式で、理容科も美容科も3年間通う必要があります。
その分通学するスケジュール(日程)的には少なく、主に昼間生が長期休暇の時に集中的に通う形になります。(スクーリングと呼ばれる)

美容師・理容師を目指す若者にたまに聞かれるのが、

昼間と通信どちらが良いですか?

という質問。

これは双方にメリット・デメリットがあるので、どちらが自分に合うか見極めるのが大事ですね。

【昼間課程のメリット】

  • 早く免許が取れる
  • 国家試験の合格率が高い
  • 同業者の友だちが増えやすい
  • 学校の授業で色んな体験ができる
  • 学生として長く過ごせる

【昼間課程のデメリット】

  • 現場に出るのが遅れる
  • 通信に比べると学費が高い

一方、通信で考えると、

【通信課程のメリット】

  • 早くサロン(現場)で学べる
  • 国家試験科目のみに集中できる
  • サロンで働く人と友人になれる
  • 学費が安い

【通信課程のデメリット】

  • 免許を取るのに時間がかかる
  • 自分から勉強・練習するメンタルが必要

この辺りでしょうか。
(※夜間課程は実際に通った事がなく、通ってた友人もいないため割愛させていただきます)

自分にはどっちが合うか、これは理美容師を目指す若者は進路の時に御両親としっかり相談されるべきポイントですね。

イッチー
ちなみに僕は理容科を昼間、美容科を通信で通いました!

そして、今はダブルライセンスを取得したい方にはかなり取りやすい制度も出てきています。

ダブルライセンスの取り方

今までは理容師免許・美容師免許それぞれどちらを取得するにしても先述の通り昼間(夜間)2年間・通信3年間専門学校に通う必要があったので最短でも4年(昼間+昼間)必要でした。

ところが2017年4月より理容師・美容師法の改正があり、理容師または美容師資格をお持ちの方がもう片方の資格を取得する際に必要な理美容学校修業年限は従来の半分、しかも筆記試験課題は1科目のみ(実技試験は従来通り)となり、両方の資格取得が目指しやすくなりました。

Point
通信課程で1年半で取得可能に!

これはめちゃくちゃ画期的な改正だと思います。

そしてこの新ルールにより、全国の専門学校でダブルライセンスコースと呼ばれる新カリキュラムも続々と誕生しています。

例えば僕の母校なんかは、


出典:京都理容美容専修学校「Wライセンスコース」

昼間課程の在学中にダブルライセンスコースにも入学できて、最短2年半で両資格を取得できるパターンもあるようです。(当然その分勉強は大変だと思いますが)

ダブルライセンスのメリット

僕がダブルライセンスを取得した理由は「幅広い技術を提供するため」「美容師の妻と同じフロアで働くため」というのが大きな理由ですが、ダブルライセンスを取得するメリットはかなりあるように思います。

  • 提供できる技術が広がる
  • 双方の知識が得られる
  • 理容室でも美容室でも勤められる
  • 理容師でも美容師でも雇える(管理する資格は必要)
  • お客様の信頼度が上がる

簡単に挙げてもこれくらいはパッと思い浮かびますね。

もちろん、1分野に特化するのも大きな武器になりますし、どちらかで極めるのも良いと思います。

ただ、僕自身は妻との兼ね合いもありダブルライセンスを取得しましたが、ダブルライセンスを推奨してる訳ではありません。

先述にもありましたように、1店舗での理美容室を出そうと思ったら全員がダブルライセンス所持者というのはかなりハードルが高いですし、メニューもある程度固定されており「新たに顔そりしたい」「まつエクしたい」などの要望がない限りはわざわざもう片方を新たに取る必要はないですね。

今現在、理容師・美容師どちらかで猛烈に日々を過ごしてらっしゃる方にはダブルライセンスは必要ない資格になるでしょう。

理容師・美容師・ダブルライセンスの人数

現在の理容師・美容師の人数はどれくらいなのか、調べてあるサイトを見つけました。

厚生労働省は2019年10月31日、2019年(平成31年)3月末・衛生行政報告を発表した。美容所は前年より3562店(1.4%)増え、過去最多の25万1140店になり、25万の大台を超えた。理容所数は前年比1912店減少(-1.6%)し、11万9053店になり、こちらは12万を割り込んだ。

従業美容師数は前年比1万0271人(2.0%)増の53万3814人で、美容師数も過去最多だった。1店舗あたりの従業美容師数は2.13人で、2年連続して増えた。
従業理容師数は3067人(-1.4%)減り、21万8030人になった。1店舗あたりの従業理容師数は1.83人と前年と変わらない。

理容業と美容業は現在、実質的に変わりない業態になっていることから、理美容合わせると、店舗数37万0193店、従業者75万1844人になる。理美容サロン業界は、国内では飲食産業に次ぐ一大産業になっている。
出典…理美容ニュース

簡単にまとめると、美容室は増え続けて過去最多を更新中であり、一方理容室は年々減少している。

それは従事している美容師・理容師もそれぞれ同じように増加・減少しているとのこと。

この内、ダブルライセンス資格取得者は1万2000人ほどだそうです。(平成25年度末)

これだけ見れば、「美容師が人気」「理容師が不人気」と取れますが、考え方を変えてみると「美容師は競争相手が多い」「理容師は競争相手が少ない」とも取れますね。

僕は元々理容師を選んだのは、唯一にして最大の特徴である顔そりができるという点に惹かれたからです。

そもそも僕が理容師を志した時代はカリスマ美容師ブーム直後であり、友人たちから「何で理容師なん?美容師じゃないん?」と言われたものです。

それでも顔そりという技術に惹かれたから理容師を目指しました。

現在、数字的には理容師独自の素晴らしい技術の使い手が減るというのは業界的には寂しい話かもしれませんが、そんな時代にあえて本気でこだわって理容技術を磨いている人達はもっと認められるようになると思います。

理容室=床屋さんという古いイメージもあり、需要はそこまで多くないかもしれませんが、僕自身とてもこだわっている技術の1つですし理容師という資格にも誇りを持っています。

そしてもちろん美容師としての技術にもこだわりはあります。

特に最近では「縮毛矯正」という自分の中での強みというか好きな分野に出会えて、日々お客様をいかにキレイにするかということを考えるようになりました。

今後も自分の大きな特徴であり武器の1つとして更に磨いていきたいですね。

このまま法改正がどんどん進み、いつか理容と美容の垣根もなくなる日が来るかもしれませんが、資格が統一されても技術はすぐに身につくものではありません。

どんな未来になっても、対応できる技術・柔軟性を持っていたいです。

まとめ

  • 理容師と美容師では提供できるメニューに違いがある。
  • 理容師は理容室でしか働けない。
  • 美容師は美容室でしか働けない。
  • 時代と共に法改正されて提供できるメニューが変わってきている。
  • 資格があってもお客様に提供できるレベルの技術がある訳ではない。
  • 理容室と美容室の併設は認められているが、条件は全員がダブルライセンスであること。
  • 理容室と美容室を分けて登録する事は可能であるが、それぞれに理容師・美容師しか働けない
  • 理容室と美容室の分け方は各自治体によってルールが違う。
  • 理容師免許・美容師免許は昼間・夜間なら2年、通信なら3年通う必要がある。
  • 国家試験は実技・学科両方受かって合格である。
  • 理容師免許か美容師免許を持っていれば、もう片方は1年半で取得可能になった。
  • 美容室・美容師は増え続けている。
  • 理容室・理容師は減り続けている。

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理容師としての渾身の『顔そり』ブログ

理容師としての渾身の『刈り上げ(フェード)スタイル』ブログ

美容師としての渾身の『縮毛矯正』ブログ

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